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芸にだんだん味が出るようになりたいもんや。
「かみなり亭」のカモ鍋』
空堀通りに『かみなり亭』という居酒屋さんがあります。席にでんでん太鼓が置いてあって、それを叩くと丸坊主の男が「なんでっか!?」と暖簾から顔を出します。それがこの店のご主人で、ものすごい落語好き。お店もいっぺん潰れたんですが、落語を使って立て直そうと考えはったくらいです。それで17年ほど前から『かみなり亭』で一門の落語会が始まりまして、2ヶ月に1回、今も続いてます。
最初は10畳ほどの座敷に客も10人くらいで、正直、「大丈夫かいな」と思うたんですが、えらいもんですね、継続は力と言いますか、続けてるうちにすっかり地元に定着して、最近は常連のおばちゃん連中をはじめ、楽しみにしてくれてはる人がぎょうさんいてます。
落語会のあとは、打ち上げをするんですが、嬉しいのは残った食材をうまく使って、ご主人が鍋をしてくれること。庶民的な店ですから、そないに高級食材は入らないんですが、これがまぁ美味いのなんの!中でも忘れられないのが冬になると作ってくれるカモ鍋!シンプルな味なんですが汁が美味いんですわ、ほんま!
でもね、最初食べたときはビックリしました。「味ついてないんちゃうか」と思うくらい味が薄いんです。それが、食べてるうちにだんだんとカモのええ味が出てきてねぇ、「はぁ〜、こんな料理の仕方もあるんか」と感心するやら驚くやら。ゼロから再出発したご主人を知ってるから、余計にそうなんかも知れませんが、私も落語家として芸にだんだん味が出るようになりたいもんやと、このカモ鍋を食べるたびにそう思いますねぇ。
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