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母ちゃんありがとう『おかき』
ウチの母ちゃんは、すげー僕のこと好きで、出てる番組は全部録画するし、久しぶりに会うだけで泣いたりします。初めての給料で少しだけ仕送りをした時も、お礼の電話を掛けてきたら僕がたまたま留守で、掛け直せばいいものを留守番電話に延々、母ちゃんの泣き声が入ってました。
そんな母親なのに、晩ごはんを作ってくれませんでした。ある会社の社員食堂で働いてて、いつもその残りもので済ませるんですよね。今から思うと1日食堂で働いて疲れてたんでしょう。でも子供の頃はそれが分からなくて、料理はできるはずなのに、なんで作ってくれないんだって、何回もケンカした覚えがあります。
そんなわけで母ちゃんの思い出の味ってやつがなかったんですが、東京で貧乏暮らしを始めて、それが出来ました。バイトの給料日まであと2週間もあるのにお金がまったくない、っていう状況になりまして、なんか部屋に食いもんがないか探したら、出てきたのが「おかき」。実家から荷物を送ってくれる中に、いっつも「おかき」が入ってて、僕はあんまり好きじゃなかったんで「こんなのなんで入れてくるんだよ」って食べずに置いてたんです。
天からの贈り物に見えましたね。それから2週間は「おかき」生活です。最初はそのまま食べて、飽きてきたらいろいろ工夫して。マヨネーズつけたりケチャップつけたりワサビ醤油つけたり、最後はお湯に入れてフヤフヤにして汁を作りました。あれは正直、マズくて失敗作でしたが、まぁ、とにかく腹に何かがたまるのは嬉しくて、母ちゃんありがとうって感謝して、だからあれ以来僕の母の味は「おかき」ですね。
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