東日本大震災の被災地では多くの方がいつもと違うお正月を迎えました。 そんな被災者の方々に今年は明るく幸せに過ごしてもらいたいと、神戸からあるものを手渡しで届ける男性がいます。 神戸市長田区の復興住宅。 阪神・淡路大震災で被災した住民たちが集まり、ペンを取っています。 書いているのは、東北の被災地に向けて送る「年賀状」です。 【瓜谷幸孝さん】 「日本中のどこの他府県よりも神戸の人は経験しているから、助け合いを。だから神戸の人のメッセージは向こうに心として届くと思うんですよ」 神戸のボランティア団体で代表を務める瓜谷幸孝さん(64) 東日本大震災の発生直後から被災地の支援を続けています。 瓜谷さん自身も17年前、神戸で被災しました。 その時、全国から届いた手紙に励まされました。
【瓜谷幸孝さん】 「広島の小学生、20人ぐらいの子どもたちが、おじいちゃんおばあちゃんに手紙を書いてくれた。それを仮設で配ったらね、おじいちゃんおばあちゃんは一日何十回も読み返したら元気が出ると。元気の手紙、またあるかとか言われたんですよ」 そこで再び「元気メール」を送ろうと呼びかけを始めました。 神戸から東北へ… 「あけましておめでとう」とは書けませんが、震災の苦労を思い出しながら励ましのエールを送ります。
【復興住宅の住民】 「絶対、今まではこんなんだったのにと涙を流さないで、前向きにしてほしい。そのうちに幸せもくると思います」 「焦らないで一歩一歩前進していったら絶対光が見えてくるから、頑張ってほしいなという気持ちで書いた」 17年前の元気メールを、大切に残している夫婦がいます。 【坂本眞砂子さん】 「仮設に元気メールが来てみなさんに配ってもらって、そのうち何通かが私の所に来た。それが縁で子どもたちが行きたいということで」 当時、垂水区の仮設住宅で暮らしていた坂本さんには奈良県の小学生から元気メールが届きました。 その後文通が始まり、送り主の女の子は仮設住宅に遊びに来るようにもなりました。 【坂本眞砂子さん】 「ここにいる人はみんな被災した、同じ思いした人ばかり。その中でこんな小さい子どもが心配してここまで会いに来てくれて、ものすごく明るくなった、仮設の中が」 今回、坂本さんは17年前の思いを、元気メールに託しました。 【坂本眞砂子さん】 「これが縁で、何かつながりができたら、仮設の生活こんなんでしたよとか、伝えられるかなと思うんですけど。何年か後に、こうなっていますよというお便りがきたら嬉しいと思います」 【神戸野田高校の生徒】 「被災された方へ・・・」 「がんばって書かない方が、だってがんばってるもん、向こうの人」 一人一人が東北の被災地に対する思いを、年賀状に込めていきます。 元気メールに賛同する人は神戸から日本全国に広がっていきました。 津波で大きな被害を受けた宮城県石巻市。 大晦日、仮設住宅ではお正月を迎える準備が進んでいました。 【相澤シヅ子さん】 「つきたてのお餅です。あと、おそば。今年はカキフライは作らない、妹が牡蠣の養殖をやっていたけどダメになって。飾りは妹が亡くなっているのでやめました。食べ物だけはやっぱ作ってしましますね」 相澤シヅ子さん(65)は仮設住宅に入居して半年近くが経ちました。 賑やかになるはずだったお正月…今年はそんな光景も見られません。 瓜谷さんが、石巻市に到着しました。 【瓜谷幸孝さん】 「みんなの心が詰まっているからね、全国からだからね」 鞄の中には全国から集まった3000通を超える元気メールが入ってます。 瓜谷さんは仮設住宅を一軒一軒訪ねていきました。 【瓜谷幸孝さん】 「おはようございます。神戸から手紙をもってきました。日本全国からきたんですよ。 3000通ぐらいあつまってね。とにかく神戸から届けてくれということでね」 【相澤シヅ子さん】 「遠く離れた沖縄から年賀状を書いています。毎朝被災された方々のご健康と、被災地の復興をお祈りしています。いつかの日のいい日のために、今があると信じて、ともにこの日本で生きていたいです。今年も元気でがんばりましょう」 「ほんとにありがたい、涙が出てきます。大事に大事に、ずっと宝にして、気持ちが沈んだときに、くじけそうになった時は見たいと思います」 はるばる届けられた元気メール。 復興へのエールと被災地を気遣う思いが心に響きます。 【石巻市の被災者】 「ありがたいです、ありがとうございます」 「すごいうれしいですね、うれしいです、私も被災しましたけど、今からですもんね」 【瓜谷幸孝さん】 「今回、北海道から沖縄までの人たちが書いてくれた手紙を配りました。その中の思いが伝わることが大事だと思うんですよ。また時間があればね、文通が始まる、この手紙がつながったらいいなと思うし。神戸は全国から助けてもらったから、その一つの恩返しが少しでもできたかなと思っている」 神戸から東北へ。 17年前の思いが、新たな絆を育もうとしています。