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来年のお正月まで一ヵ月あまりとなりましたが、東日本大震災の被災者にとっては、いつもとは違う新年となりそうです。
「新年おめでとう」とはまだ言えない被災者に、大切な人に近況だけでも伝えてもらおうと、大阪の大学生がいつもと違う年賀状をつくり被災者支援をしています。
学園祭で賑わう大阪大学のキャンパス。
被災者のために、自分にできることはなにか。
問い続けてきた学生がいます。

【鍛治屋圭佑さん】
「年賀状を送りたいんですけど、あけましておめでとうと言いづらいという空気がある。
でも今の現状、震災から立ち直って『がんばってますよ』と伝えたい方がいらっしゃる」
大阪大学3年生の鍛治屋圭祐(かじやけいすけ)さん(21)。
年賀状に代わるハガキで被災地を支援するプロジェクトのリーダーです。
鍛治屋さんは今年5月、ボランティアとして宮城県石巻市を訪れました。
体育館で被災者のニーズを聞き取る仕事を与えられましたが、「なにもできなかった」という思いが強く残りました。
【鍛治屋圭佑さん】
「もっといろいろできると思ってたんですけど、全然思ったようにいかなくて自分にできることはなんでこんなに少ないんだろうと。ボランティアを経験して関西に帰って来て、関西でのうのうと暮らしていくことは自分にはできなかった」
そんな中、インターンシップ先の印刷会社でキーワードとしてあがったのが『年賀状』でした。

年賀状は新年の訪れを祝うものです。
しかし被災者の心は「あけましておめでとう」という気持ちには程遠く、年賀状を控えようと考えている人も少なくありません。
それでも被災者にはそれぞれ伝えたいことがあるはずだと、鍛治屋さんは感じていました。
【鍛治屋圭佑さん】
「避難所に入ったときに自分の思いを発信するのが得意じゃないというか、それをしない文化だと思った。隣りの人とも話さず自分で我慢していた。でも『伝えたい』という思いは絶対にあるはずだと」
そうして作られたのが『元気だ状』と名づけられたハガキです。
「おめでとう」ではなく生活の様子や心にしまいこんだ思いを伝えることで元気の輪を広げたいという願いが込められています。

切手のいらない年賀状タイプのハガキを被災者には1枚40円で販売することになりました。(※送料は無料)
印刷や被災者への広報活動は東北の企業と学生が行います。
関西に住む鍛治屋さんたちの役割は支援の輪を広げること。
印刷代や被災地への送料を賄うには企業からプロジェクトへの応援金を募らなければなりません。
【企業】
「ぜひ使っていただければ、東北の方にも元気になってほしい」
学生たちの活動に理解を示す企業も現れるようになりました。
被災者以外の人には応援金を上乗せした価格で販売しています。
自分にできることはなにか。
探し続けてきた彼らの思いは、少しずつ広がり始めていました。
【元気だ状を買った人】
「なにかしようと思っててもなにをしたらいいか分からないけど活動してるのを見たら応援したくなる」
「親しい人に出せたらと思って」
「『がんばろう』という言葉ばかり街中で見受けるけどちょっと違う形なんで共感した」
【鍛治屋圭佑さん】
「感謝の気持ちだったり、今の自分の悩みでもいい。自分の中にあるものを出して頂きたい。それを伝えることで自分の気持ちが和らぐのであれば伝えてほしい。それが『元気だ状』でなければ『元気だ状』でなくてもいい」

そして完成した『元気だ状』を被災者に見てもらう日がやってきました。
福島から大阪に避難している昆洋平(こんようへい)さんは当初からプロジェクトに賛同してくれていた1人です。
【昆洋平さん】
「お互い勇気づけられて意味のあることだと思う。『あけましておめでとう』というまで土台がしっかりして、幸せ・家族っていうのもピンとこない部分があったんで、元気にしてますというのは非常に使いやすいと思います」
【鍛治屋圭佑さん】
「がんばらないとなって、僕らも」

【昆洋平さん】
「率直に思ったのは、もう年末が来たのかって。地震を受けたのはまだ雪がちらついていた3月11日。それから夏を通り越してまた同じような気候のときがきた。
あっという間だった。
まずは親戚の方々に、元気にしてます、順調ですと伝えたい。あとは地元の人たちに。
同じ辛さを体験してるから書ける言葉もあるんで、相手を思い出しながらゆっくり書いていけたらいいなって」
ハガキで伝えられた想いはきっと、被災者の次の一歩へ繋がっていきます。
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