関西テレビKTV NEWS/スーパーニュース アンカー スーパーニュースアンカー
関西テレビKTV NEWS/スーパーニュース アンカー
番組バックナンバー
目次 > 2009年11月5日放送の番組バックナンバー


高い保険料・滞納急増で“崩壊寸前” 国民健康保険の危機

特集は、自営業者や年金生活者などが主に加入している「国民健康保険」。失業者や非正規労働者など低所得の人が増えているなか、高い保険料を支払えない人も多く、自治体を悩ませています。中には、滞納が続いていわゆる「無保険」になってしまう人もいて、国民の命にかかわるセーフティネットがいま、危機を迎えています。

先月、2日間にわたりのべ500人のボランティアが大阪府門真市内の住宅を戸別訪問し、アンケートを行いました。国民健康保険の実態調査。保険料や収入、健康状態など32項目について聞き取りを行います。

加入者からは「保険料は高いと思う。保険料が高すぎて滞納せざるをえない」「働いてればいいけど、年金だけで生活してるんで・・・」といった声が聞かれました。 


門真市は、国保が抱える構造的な課題が顕著に表れている自治体です。1人あたりの平均所得(所得控除後)が年間およそ192万円と府内最低レベル(府平均231万)。保険料の収納率は全国平均90%を大きく下回る80%で、大阪の最下位です。(国平均90%・府平均85%)この滞納の多さが、深刻な問題となっているのです。


実態調査の実行委員長で三重短大の長友薫輝准教授は「(低所得者が多いと)必ず払えない人が出てくる。滞納者が出てくる。そうすると払える方々でそれを負担するわけです。そうすると保険料が上がる、また新たな滞納者が増える。また保険料があがる。という悪循環。その結果サラリーマンの方々が入る保険からすると、3倍以上の保険料負担をしなければいけない。でもその人たちが一番平均所得は低いという構造」と問題点を指摘します。

2007年度の収納率が高かった上位5つの自治体と低かった自治体の保険料を比較しても、収納率が悪い自治体ほど、保険料は高くなってしまう傾向にあることが分かります。
※モデル世帯(40歳代夫婦・子ども2人・世帯所得200万円・固定資産税5万円)

この日、実行委員会のメンバーが、市内に住む田中さん(仮名・45歳)の自宅を訪れました。

田中さんはこの春、原因不明の激しい足の痛みに襲われ、ベッドの上での生活を余儀なくされています。

「保険証がないため、病院にかかったことがない」と話す田中さん。

田中さんはトラック運転手の夫と子ども2人の4人暮らしをしていますが、不況の影響もあり、夫の給料は手取りで月20万円を下回ることも少なくありません。去年11月、年収の4分の1近いおよそ46万円の保険料が払えなくなり、”無保険世帯”になりました。

「子どもが37度とか38度の熱が出ても寝かせて冷却シートを貼って、あとは薬。子どもが熱でうなってるのに、病院に行けないとか、ケガをしたのに病院に連れて行ってあげないとか、親として情けないなって」(田中さん)

 

病人が、患者になれない現実。門真市も、手をこまねいているわけではありません。去年12月から、保険料を払えない世帯でも、中学生以下の子どもがいれば短期の保険証を交付しています。

しかし、市の国保会計の累積赤字は58億円。これが財政を圧迫し早期健全化団体に転落する一歩手前まできているのです。

門真市保険年金課の村山正也課長「イエローカードに限りなく近い、ぎりぎりのボーダーライン。国保のために門真市が倒れたというわけにはいかない」と危機感を募らせます。  

職員が滞納者の自宅を訪問したり、休日も相談窓口を開いたりしてこの5年間収納率は上昇傾向にありますが、それでも、毎年10億円程度の滞納が劇的に減ることはありません。

国民健康保険は、市民の命に直接かかわるセーフティネット。
田中さんは、ようやく手にした短期保険証を持って、2年ぶりに病院に向かいました。足の痛みは、体内に水が溜まっていたことが原因とみられ、腎臓や心臓などの精密検査が必要と診断されました。

「子どもは実費がかかっても仕方ないからいこうと思うけど、自分は抑えてしまう。やっぱり自分が病気を治さないと子どもたちもかわいそう。(保険証が)あるのとないのと全然違いますね」(田中さん)

 田中さんのようなケースは、決して特殊な例ではありません。2日間にわたる調査の結果、85パーセントの国保加入者が「保険料で暮らしが圧迫されている」と答えました。そして10人に1人が、保険料は払えても、「お金がかかるため病院での治療を先延ばしにしたことがある」と、回答したのです。 

「所得格差が健康格差に直結している。市民が払う保険料が非常に高い構造を変えなければ、自治体も財政的にさらに厳しい状況に追い込まれていく」(長友准教授)

国も、国保の構造的な問題は認めているものの、収納率の低いところには一律に交付金減額のペナルティを与えるなど、各自治体の実情に即した対策がとられているとはいえません。

「都市間の格差、裕福な都市と門真市みたいな脆弱な基盤をもった都市の差がますます開いてきている。大阪府内でどこの保険に加入してもどこに引っ越しても保険料は同じ、受けられるサービスは同じといった形の保険制度にとりあえず変えてほしい」(村山課長)

慢性的な赤字の構造を抱えた国民健康保険。市民からも、自治体からも、切実な悲鳴があがっています。

2009年11月5日放送

戻る



Copyright(c)2006 Kansai Telecasting Corporation All Rights Reserved.関西テレビ